今年もクルーズ船アテンド業務が始まりました。
初日は快晴。
青空に白い船体が映えます。
迫り来る台風7号の影響で、急遽進路変更。
乗船開始時間がなかなか定まらず、はっきりとした説明がないまま、
多くのお客様を長時間お待たせしてしまう状況になりました。
私たちは、船会社のスタッフとして、
ターミナル内での案内、誘導、事務手続き等の業務を担っていますが、
業務以外のご質問にはお答えすることができません。
船の行き先を変えることも、
旅行代金を保障することも、
中止になった楽しみの補填の有無も、
旅の充実を確約することもできない。
それでも、船会社のバッヂを身につけて勤務しているのですから、
当然お客様から説明を求められます。
あなたなら、どのように対応しますか?
「アルバイトなので分かりかねます」
「旅行会社に問い合わせてください」
「お客様の安全確保のための措置ですのでご理解ください」
「申し訳ございません」
間違いではありませんが、いかにもマニュアル通りのセリフです。
これらの言葉からお客様が感じ取るものは、
〝無責任〟〝言い逃れ〟〝不信感〟といった
「問題から逃げたいこちら側の態度」ではないでしょうか。
お客様を真っ先に襲うのは
〝残念〟〝悔しい〟という行き場のない思い。
「苦労して休暇を取ったのに・・・」
「初めての船旅なのに・・・」
「中止になった寄港地が本命だったのに・・・」
まずその思いを受け止め、理解を示さなければ、
どんな言葉を投げかけても、
お客様の気持ちは置き去りになり、前向きに転じることはありません。
そして、理由が何であれ、
バッヂを身に付けたスタッフとして真摯にお詫びし、
把握できている範囲内で、状況を明確に説明すること。
その上で、できることなら、
失いかけている旅する喜びを、再び感じることができる心の状態へと導きたい。
「私に言われても・・・」とお客様に背を向けるのか、
「私にできることはなにか」と向き合うのか。
言葉が伝えるものは、その人の心。
同じ言葉であっても、心の持ち方次第で、全く違う伝わり方をするのです。