金木犀の記憶

知人のセラピストさんに届けるため、
実家の金木犀を収穫。
生花から香りを抽出し、モイストポプリを作るのだそう。

花言葉は「謙虚」「真実」「陶酔」
小さく慎ましい姿とは裏腹に、姿は見えずともその芳しい香りは
道ゆく人を振り向かせ、虜にします。

私にとって金木犀と云えば、
山田詠美さんの短編集にある
若い青年に恋心を寄せる少女の物語があります。

青年には女性の影があり、
少女はついに二人の逢瀬の現場を目撃。

自分のほうが若くて可愛いのだから、と信じたい。
けれどもその女性はいわゆる男性ウケするタイプではなく、
Tシャツに短パン、ノーメイク、
ショートカットで痩せ型の、
けれども得も言われぬ色香を漂わせている。

女性は青年に「金木犀の匂いがする」とささやきます。

太刀打ちできない女性の魅力を前にして、
少女は悔し涙をのむ、というお話。

色香は、容姿や服装や頭脳にではなく
知性にこそ宿る、ということに、少女は気づくのです。

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実家への道のりには、
コスモスや曼珠沙華が咲き誇り、
紋白蝶が飛び交っていました。

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